おかえりの味


週末、わたしの実家へ帰った日。

息子は母の腕の中で、すやすやと寝息を立てていた。

その間に、母が作ってくれたのは、わたしが子どものころ好きだった煮物。

ひと口食べた瞬間、思わずぽろっと涙がこぼれた。

「なんか……今のわたしに、ちょうどよかった」

そう言うと、母はふふっと笑って、「育ててるんだもん、泣く日くらいあるでしょ」って。

“お母さん”と“娘”の両方をやってるわたしを、その日は、ちゃんと“娘”に戻してくれた。

母のごはんは、やっぱりおかえりの味だった。

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