週末、わたしの実家へ帰った日。
息子は母の腕の中で、すやすやと寝息を立てていた。
その間に、母が作ってくれたのは、わたしが子どものころ好きだった煮物。
ひと口食べた瞬間、思わずぽろっと涙がこぼれた。
「なんか……今のわたしに、ちょうどよかった」
そう言うと、母はふふっと笑って、「育ててるんだもん、泣く日くらいあるでしょ」って。
“お母さん”と“娘”の両方をやってるわたしを、その日は、ちゃんと“娘”に戻してくれた。
母のごはんは、やっぱりおかえりの味だった。
息子は母の腕の中で、すやすやと寝息を立てていた。
その間に、母が作ってくれたのは、わたしが子どものころ好きだった煮物。
ひと口食べた瞬間、思わずぽろっと涙がこぼれた。
「なんか……今のわたしに、ちょうどよかった」
そう言うと、母はふふっと笑って、「育ててるんだもん、泣く日くらいあるでしょ」って。
“お母さん”と“娘”の両方をやってるわたしを、その日は、ちゃんと“娘”に戻してくれた。
母のごはんは、やっぱりおかえりの味だった。
離乳食を終えた息子が、おじいちゃんの膝でにこにこ笑っていた。
「そっちがいいのか〜」と、わたしはちょっぴり拗ねた声で言ってみたけど――その笑顔に、自然とこちらも笑ってしまった。
そんなとき、台所からおばあちゃんの声がした。
「うちの子もね、昔はこうして抱っこしてたのよ」
そう言って差し出されたのは、小さな柄のお茶碗。
「あなたのぶん。ごはんは、わたしたちが用意するから」――その一言で、気づかぬうちに張っていた肩の力が、ふっと抜けた。
言葉にはしなかったけれど、あの“ありがとう”は、きっとちゃんと届いていたと思う。
抱っこして、ゆらゆらして、ミルクもあげて…。
…寝ない。
「うそでしょ」って思ってたら、急に涙がこぼれた。
あ、赤ちゃんじゃなくて、俺の。
泣き止まない我が子、眠れない夜。
ママはこれを毎日やってたのかって思ったら、もう頭が下がるしかなかった。
次の朝、クマをつくったママに「ありがとう」と言ったら、
「やっと気づいた?」って、笑ってた。
でも、ベビー服の肩ボタンを全部留めたまま干してある。
「あー…乾かないやつ」
キッチンで苦戦してると思ったら、離乳食のにんじんが床に舞ってた。
「それ、まぜてからチンするんだよ」
でも、わたしが言う前に、「ごめん、失敗したー」と笑う声。
完璧じゃないけど、がんばってるのはちゃんと伝わってる。
そう思える日は、ちょっといい日。
金曜日の夜。夕食の片づけをしていると、子どもが小さな布巾を持ってやってきた。 「お母さん、ぼくもやる!」 昨日、買い物袋を半分こしたことが、まだ嬉しいらしい。 「じゃあ、テーブルをお願いしようかな」 子どもは張り切って拭き始めた。右へ左へ、何度も布巾を動かす。 「できた!」 見...