2025年5月31日土曜日

お茶碗とありがとう


夫の実家に帰省した日。

離乳食を終えた息子が、おじいちゃんの膝でにこにこ笑っていた。

「そっちがいいのか〜」と、わたしはちょっぴり拗ねた声で言ってみたけど――その笑顔に、自然とこちらも笑ってしまった。

そんなとき、台所からおばあちゃんの声がした。

「うちの子もね、昔はこうして抱っこしてたのよ」

そう言って差し出されたのは、小さな柄のお茶碗。

「あなたのぶん。ごはんは、わたしたちが用意するから」――その一言で、気づかぬうちに張っていた肩の力が、ふっと抜けた。

言葉にはしなかったけれど、あの“ありがとう”は、きっとちゃんと届いていたと思う。 

2025年5月30日金曜日

ボタン、ちゃんと止まってた


朝の支度で時間がない中、自分のシャツのボタンをとめながら、ふと気づいた。

「あ、ちゃんと全部合ってる」

昨日はずれてて、一日じゅう気になってたのに。

誰にも褒められないことだけど、なんとなく「わたし、今日いけるかも」って思えた。

日々はドタバタだけど、自分のことも、ちょっとずつ上手になってる。

それって、ちゃんと「成長」だ。

2025年5月29日木曜日

ヘアゴムどこいった?


出かける直前、「ヘアゴムどこ!?」と探しまわる。

リビング、キッチン、洗面所……ない。

結局、腕にしてた。

「なんで毎回こうなるの~」と笑ったら、ベビーカーの中で、息子もつられて笑ってた。

余裕はなくても、笑いはつくれる。

バタバタな朝こそ、ゆるっと笑える“きっかけ”があると、今日という一日も、なんだかちょっと許せる。

2025年5月28日水曜日

ハグのごちそう


朝からバタバタで、ごはんも中途半端、洗濯物も干しかけ、メイクもできず。

「はあ…今日、なんにもできてない」って思ったとき、背中にふわっと小さな腕。

「ママ、だいすき!」

おにぎりも作ってないのに、わたしの心は満たされてしまった。

ハグって、すごい。

ちいさな手のぬくもりが、今日のわたしをもう一度立たせてくれた。

2025年5月27日火曜日

ひとりでできた


「ママ、じぶんでやる!」

そう言って、靴を逆に履いた息子。

足の向きはおかしいけど、やる気だけはまっすぐ。

出発する頃には、靴もズボンもぐちゃぐちゃだけど、「自分でできた!」って笑ってた。

手を出したい気持ちを、ぐっとこらえるのって、案外、ママの成長のチャンスかもしれない。

今日の一歩は、ちいさいけれど、大きな一歩。


2025年5月26日月曜日

洗濯物と深呼吸


「今日も、何もできなかったな…」

リビングでぼんやりしていたら、ベランダの洗濯物が風にゆれていた。

片袖だけ裏返ったままの小さなシャツ。

ちゃんと干せてなかったけど、ちゃんと洗えてた。

洗えてたら、じゅうぶん。

そう思ったら、ちょっと呼吸が深くなった。

「できなかったこと」より、「やれてたこと」に目を向けてみよう。

きっと、ちゃんとまわってる。 

2025年5月25日日曜日

やってみて、わかったこと


「夜泣き?俺が代わろうか」って言ってみた。

抱っこして、ゆらゆらして、ミルクもあげて…。

…寝ない。

「うそでしょ」って思ってたら、急に涙がこぼれた。

あ、赤ちゃんじゃなくて、俺の。

泣き止まない我が子、眠れない夜。

ママはこれを毎日やってたのかって思ったら、もう頭が下がるしかなかった。

次の朝、クマをつくったママに「ありがとう」と言ったら、

「やっと気づいた?」って、笑ってた。 

第32話 子育て 秋の気配『新しい朝』

 九月最初の朝。 昨日までと同じ時間に起き、同じように朝食を作り、水筒を用意する。カレンダーを一枚めくったところで、子どもが言った。 「今日から九月だね」 「そうだね」 たったそれだけなのに、新しい月が始まったことが少し嬉しかった。  玄関を出ると、日差しにはまだ夏の強さが残って...