2026年9月26日土曜日

第57話 子育て 秋の休日『どんぐり四号』


 土曜日の午後、子どもといつもの公園へ出かけた。

「今日は見つかるかな、どんぐり四号」

 先週の日曜日、探したけれど見つからなかったどんぐりだ。

「見つからなくてもいいんじゃない?」

私が言うと、子どもは首を振った。

「でも、探すのは楽しいよ」

なるほど。それなら、と二人で落ち葉の間をのぞきながら歩いた。

 赤い葉、細長い木の実、風に揺れるすすき。目的のものはなくても、立ち止まるたびに小さな秋が見つかる。

公園を一周して帰ろうとした、そのとき。

「あった!」

子どもが木の根元から、小さなどんぐりを拾い上げた。

「四号だ!」

 手のひらに乗せて、満足そうに眺めている。

「待ってたのかな」

「ぼくたちが見つけるのを?」

二人で笑った。

 すぐに見つからなかったからこそ、今日の「あった!」は少し嬉しい。

欲しいものが、欲しいときに見つかるとは限らない。でも、探す時間まで無駄になるわけではないのだ。

 帰り道、子どものポケットから小さな音がした。

今日の幸せは、一週間遅れてやってきた、待望のどんぐり四号だった。

今日のこころの花🌼

 すぐに結果が出なくても、今日は楽しめたことを一つ探しましょう。途中の時間にも幸せはあります。


#子育て
#秋の散歩
#小さな幸せ 

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第68話 子育て 秋の夕方『手のひらの風』

 水曜日の帰り道。昨日より少し冷たい風が吹いて、子どもが両手を広げた。 「お母さん、風つかまえる!」 走り出すのかと思ったら、その場でじっとしている。 「つかまった?」 「うーん……逃げちゃう」  私も真似をして手のひらを広げた。風は指の間をすり抜け、髪を揺らして通り過ぎていく。...