2026年9月28日月曜日

第59話 子育て 秋の朝『空っぽのポケット』


 月曜日の朝、玄関で靴を履いていた子どもが、ズボンのポケットを確かめた。

「あ、今日は何も入ってない」

 昨日までなら、そこにはどんぐりが入っていた。四号までそろった宝物は、今朝は机の上の「どんぐりのおうち」で留守番している。

「空っぽもいいんじゃない?」

私が言うと、子どもは不思議そうな顔をした。

「どうして?」

「今日見つけるものを入れられるから」

 家を出ると、風が少し冷たかった。歩道には黄色い葉が一枚、昨夜の雨粒を乗せて光っている。

子どもはしゃがんで眺めたけれど、拾わなかった。

「これは、ここに置いとく」

そして立ち上がると、空っぽのポケットをぽんぽんと叩いた。

「まだ入るよ」

その言葉に、私は笑った。

 心も同じなのかもしれない。思い出を大切にすることと、新しいものが入る余白を残しておくこと。その両方があっていい。

 月曜日は、一週間の始まり。

まだ何が起こるかわからない空白が、今日は少し楽しみに思えた。

今日の幸せは、何も入っていないからこそ広がっていた、ポケットいっぱいの余白だった。

今日のこころの花🌼

 予定を詰め込まず、今日は少しだけ余白を残してみましょう。そこに新しい幸せが入ってくるかもしれません。


#子育て
#心の余白
#小さな幸せ 

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