火曜日の夕方、子どもと家へ向かって歩いていると、急にあたりが金色に染まった。
「お母さん、見て!」
西に傾いた太陽が、家の窓も電柱も道端の草も、みんな同じ色に照らしている。
子どもは昨日、空っぽだったポケットに手を入れた。
「今日も何も入ってない」
「何か拾いたかった?」
「ううん。これ、入らないから」
そう言って、金色の空を指さした。
思わず笑ってしまった。
確かに、どんなに大きなポケットでも夕焼けは入らない。
でも、持ち帰れないからこそ、今ここでちゃんと見ておきたくなるものがある。
二人で立ち止まり、しばらく空を眺めた。
やがて太陽が家並みの向こうへ隠れると、金色だった道はいつもの色に戻っていった。
「なくなっちゃったね」
「でも、見たでしょう?」
「うん。お母さんも見たね」
同じ景色を誰かと見たこと。それなら、ポケットに入れなくても残っていく気がした。
九月も、もうすぐ終わる。
今日の幸せは、持ち帰ることのできない夕焼けを、二人で心にしまえたことだった。
今日のこころの花🌼
きれいだと感じた景色に出会ったら、少し立ち止まって眺めましょう。心の中にも思い出は残せます。
#子育て
#秋の夕暮れ
#小さな幸せ

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