土曜日の朝。カーテンを開けた子どもが、窓の外を見て声を上げた。
「お母さん、月がまだいる!」
昨夜、帰り道からついてきた月が、薄い青空に白く浮かんでいた。
「帰るの忘れちゃったのかな」
そう言うと、子どもは少し考えて、
「きっと忘れものしたんだよ」
と笑った。
「何を?」
「夜!」
思わず二人で笑ってしまった。
昨日まで夜のものだと思っていた月が、朝の空にもいる。知っていたはずなのに、こうして眺めると少し不思議だった。
朝食を終えて外へ出ると、月はさっきより淡くなっていた。金木犀の香りが風に混じり、道には黄色い葉が落ちている。
「もう帰っちゃうね」
子どもが空を見上げる。
「また夜になったら会えるよ」
見えなくなることは、なくなることとは違う。
朝顔の種も、どんぐりの思い出も、昨日の月も。目の前にない時間にも、ちゃんとどこかで続いている。
十月最初の土曜日。
今日の幸せは、朝の空に残っていた、月のかわいい忘れものだった。
今日のこころの花🌼
いつも知っているものを、少し違う時間や角度から眺めてみましょう。新しい発見が待っているかもしれません。
#子育て
#秋の空
#小さな発見

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