2026年10月2日金曜日

第63話 子育て 秋の夜『月を連れて帰る』


 金曜日の帰り道。すっかり暗くなった空を見上げて、子どもが言った。

「お母さん、月がついてくる」

歩けば月も動き、角を曲がっても、家の屋根の向こうからまた顔を出す。

「ほんとだ。ずっと一緒だね」

 昨日は金木犀の香りに秋を見つけた。今日は夜空に、十月の宝物を見つけたらしい。

子どもは何度も振り返りながら歩く。

「家まで来るかな」

「来てくれるんじゃない?」

 玄関に着くと、子どもは急いで窓のところへ向かった。

「あった!」

建物の間から、さっきと同じ月が見えている。

「ちゃんと来たね」

得意そうに言う顔を見て、私は笑った。

 大人になってから、月は見上げるものになっていた。でも子どもにとっては、一緒に歩いて家まで来てくれるものなのだ。

同じ景色でも、見方が変われば物語になる。

 忙しい一週間の終わり。温かい飲み物を用意して、二人でもう一度窓の外を見た。

今日の幸せは、帰り道から家まで、ずっと私たちについてきてくれた秋の月だった。

今日のこころの花🌼

 今夜は少しだけ空を見上げてみましょう。いつもの月や星を、自分だけの物語にして楽しんでみてください。


#子育て
#秋の夜
#親子時間 

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