2026年10月28日水曜日

第89話 子育て 秋の夕方『おかえりの灯り』


 水曜日の夕方。子どもと家に帰るころには、空がすっかり薄紫色に染まっていた。

「お母さん、暗くなるの早くなったね」 

「そうだね。秋も深まってきたね」

昨日の朝、玄関の壁に映っていた葉っぱの影を思い出す。あの光も、夕方にはもう見られない。

 家に着いて鍵を開けると、部屋の中はひんやりとしていた。

「ただいま!」

子どもの元気な声が、静かな部屋に響いた。

私は照明をつけ、買い物袋を台所に置いた。

すると子どもが、リビングから呼んだ。

「お母さん、見て!」

振り返ると、窓の外は青く暮れかけていて、部屋の灯りがガラスに映っていた。

「おうちの中が、もう一つあるみたい」

 子どもは窓に映る自分に手を振った。

私も隣に立つと、ガラスの中の二人が並んで笑っていた。

外が暗くなるのは、少し寂しいと思っていた。でも、暗くなるからこそ、家の灯りが温かく感じられる。

 夕食の支度を始める前に、二人で少しだけ窓の前に立っていた。

「おうち、あったかいね」

「うん、帰ってきたね」

今日の幸せは、秋の夕暮れに見つけた、二人を迎えてくれる小さな灯りだった。

今日のこころの花🌼

 夕方、家や街の灯りを一つ眺めてみましょう。何気ない景色の中にある、安心できる温かさを感じて。


#子育て
#秋の夕暮れ
#小さな幸せ 

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