朝、靴を履かせようとしたら、「じぶんでやるの!」と息子がむきになる。
でも時間がないわたしは、「もう!いいからママがやる!」とつい手を出してしまった。
玄関に広がる、沈黙。
急いでるのはこっちなのに、なぜか泣きたいのはわたしだった。
夜、靴をしまおうとしたら、小さな手でそっと拭かれた形跡があった。
きれいになったつもりの、まだ汚れたままの靴。
「がんばったんだね」って、胸がつんとした。
わたしも、明日は少しだけ待ってみよう。
でも時間がないわたしは、「もう!いいからママがやる!」とつい手を出してしまった。
玄関に広がる、沈黙。
急いでるのはこっちなのに、なぜか泣きたいのはわたしだった。
夜、靴をしまおうとしたら、小さな手でそっと拭かれた形跡があった。
きれいになったつもりの、まだ汚れたままの靴。
「がんばったんだね」って、胸がつんとした。
わたしも、明日は少しだけ待ってみよう。
おもちゃ片づけない、靴履かない、ごはんも時間がかかる。
わたしばっかり怒ってる。
夜、絵本を読んでも息子はもじもじ。
「ねえ、だっこして?」って言われて、ちょっとだけ戸惑った。
さっき怒ったばかりなのに、まだ甘えてくれるの?
ぎゅっと抱きしめたら、「ママ、やさしいにおい」って声がふにゃっと聞こえた。
こんな日でも、最後はだっこでおしまい。
それだけで、なんとかやっていける気がした。
「もう、ママだって疲れるんだよ!」って叫んでしまった。
沈黙の中、洗濯機の終了音だけが響いた。
ベランダで洗濯物を干しながら、空を見上げる。
ふうっと深呼吸していたら、後ろから「ママ、これ」と、息子が靴下を持ってきた。
その顔が、少し不安そうで、でも近づいてきたことが嬉しくて、「ありがとう」と笑ってみた。
洗濯物と一緒に、気持ちも干して。
わたしの今日のリセットは、ここからだった。
つい声が大きくなって、息子はしゅんとする。
ああまたやっちゃった…と思いながら、気まずい空気のまま、お皿を片づける。
ふたり分のプリンを冷蔵庫から出して、スプーンで小さくすくって、息子の前へ。
「ごはんのあとはこれだね」と言ったら、彼の顔がふわっとほころんだ。
ごめんねって、言えなかったけど、たったひとくちの甘さが、わたしたちの間の空気を、すこしやわらかくした。
息子は何も言わず、黙ってついてくる。
ただ、ぺたぺたとスリッパの音だけが、わたしのあとを追ってくる。
ふと振り返ったら、小さな手に靴下とスプーン。
怒られないように、先回りしようとしてた。
その姿に、胸がきゅっとなった。
わたし、怒ってばかりだったね。
手をつなごう、と言ったら、ちょっとだけ照れたように、でも嬉しそうに笑った。
子どもはちゃんと見てる。
だからわたしも、ちゃんと見ていたい。
そのたびに息子の顔がしょんぼりしていったのを、どこかで気づいてたのに止まれなかった。
夜、眠る顔をのぞきこんで、こっそりつぶやく。
「さっきはごめんね。ほんとは、いっぱい抱きしめたかったんだよ」
返事はもちろんないけれど、小さな寝息が、わたしを少し救ってくれた。
完璧なママにはなれないけれど、やさしくなりたいって思ってる。
それだけは、ちゃんと伝わってほしい。
5秒後には、自己嫌悪でいっぱい。
さっきまで一緒に笑ってたのに、どうしてこんなに不器用なんだろう。
台所に逃げて、冷たい麦茶をコップに注ぐ。
ひと口飲むと、のどをすっと通って、少しだけ気持ちがゆるんだ。
大きく息を吐きながら、心の中でつぶやく。
「怒っちゃった。でも、わたしも人間だもん」
その言葉に、涙がじんわりにじんで、それと一緒に、少しだけやさしさも戻ってきた気がした。
九月最初の朝。 昨日までと同じ時間に起き、同じように朝食を作り、水筒を用意する。カレンダーを一枚めくったところで、子どもが言った。 「今日から九月だね」 「そうだね」 たったそれだけなのに、新しい月が始まったことが少し嬉しかった。 玄関を出ると、日差しにはまだ夏の強さが残って...