2025年6月7日土曜日

くつした、はいた!

子育てママ「くつした、はいた!」 


 「おさんぽいこうか」と声をかけると、息子がくつしたを探しにハイハイで駆け出す。

見つけたはいいけど、左右バラバラ。

しかも、片方はぬいぐるみの下に。

 自分で履こうとするけれど、かかとがどこか分からず悪戦苦闘。

それでも「できたー!」と、ドヤ顔で立ち上がる。

 たった一足のくつしたが、こんなにもドラマチックな朝になるなんて――

今日も、いい一日になりそうだ。

2025年6月6日金曜日

5分だけのごほうび

子育てママ「5分だけのごほうび」 


 午前中、ずっと泣いていた息子がようやくお昼寝。

リビングに、ひさびさの静けさが戻ってくる。

 台所で、急いでインスタントコーヒーを淹れて、

お気に入りのカップに注ぐ。

椅子にすわって、深呼吸。

ほんの5分でも、「わたし」に戻れるこの時間が、とびきりのごほうびだと思う。

 息子の寝顔をちらっと見て、「もうちょっと寝てていいよ」と、そっと願う昼下がり。

2025年6月5日木曜日

はじめてのスプーン

子育てママ「はじめてのスプーン」 


 「じぶんで、やる!」と息子が言った。

まだまだうまくいかないのは知ってるけれど、今日は、そっとスプーンを渡してみた。

 ぐにゃっと曲がった手つきで、ヨーグルトをすくって、ぽとぽと垂らしながら、口に運ぶ。

…届いた。にこっと笑う顔に、わたしも思わず拍手した。

 「できた!」は、ぐちゃぐちゃでも、立派な一歩。

わたしの手を離れていくことが、ちょっとだけ、誇らしく思えた朝だった。

2025年6月4日水曜日

ふたりだけの読書会

子育てママ「ふたりだけの読書会」


 午後のまどろみの中、絵本をひらいた。

わたしのひざの上で、じっとページを見つめる小さな背中。

物語の意味なんて、まだきっとわかってない。

でも、めくるたびにじっと聞いてくれて、たまに顔を見上げて、にっこり笑う。

 この時間が、あとどれだけ続くんだろう。

そのことを考えると、今日の1ページがいっそう大切に思えた。

2025年6月3日火曜日

笑い声の魔法

子育てママ「笑い声の魔法」


 朝からなんだかバタバタで、気持ちもどこかピリピリ。
洗濯物を干している途中で、おもちゃを踏んづけて「痛っ!」
思わずイライラが噴き出しかけたとき、リビングから息子の笑い声が響いた。

 何がそんなにおかしいのか、ケラケラ笑うその声。
なんだか、それを聞いただけで、怒る気がなくなった。

 笑い声って、魔法みたいだ。
泣き声に慣れたこの耳には、笑い声がごほうびに聞こえる朝だった。

2025年6月2日月曜日

イヤリングとわたし

子育てママ「イヤリングとわたし」 


朝、棚の奥から見つけた、小さなイヤリング。

つける余裕なんてなかったけど、今日はなぜか手が伸びた。

鏡の前でちょっとだけ首をかしげて、「ああ、こういうの好きだったな」って思い出す。

 オムツとおもちゃとエプロンに囲まれた毎日の中でも、“ママ”の奥にはちゃんと“わたし”がいた。

たったひとつのイヤリングが、それをそっと教えてくれた気がした。

2025年6月1日日曜日

おかえりの味


週末、わたしの実家へ帰った日。

息子は母の腕の中で、すやすやと寝息を立てていた。

その間に、母が作ってくれたのは、わたしが子どものころ好きだった煮物。

ひと口食べた瞬間、思わずぽろっと涙がこぼれた。

「なんか……今のわたしに、ちょうどよかった」

そう言うと、母はふふっと笑って、「育ててるんだもん、泣く日くらいあるでしょ」って。

“お母さん”と“娘”の両方をやってるわたしを、その日は、ちゃんと“娘”に戻してくれた。

母のごはんは、やっぱりおかえりの味だった。

第32話 子育て 秋の気配『新しい朝』

 九月最初の朝。 昨日までと同じ時間に起き、同じように朝食を作り、水筒を用意する。カレンダーを一枚めくったところで、子どもが言った。 「今日から九月だね」 「そうだね」 たったそれだけなのに、新しい月が始まったことが少し嬉しかった。  玄関を出ると、日差しにはまだ夏の強さが残って...